日本の大学には、外国出身の学生が非常に少ないと指摘されています。比較的、外国人留学生の多い早稲田大学(4603名)や東京大学(2990名)でも留学生の比率は、東京大学で12パーセント、早稲田大学で10パーセントと、10パーセント前後です。つまり、ほとんどが日本生まれの学生ばかりなのです。この外国人留学生が少ない理由の一つに、4月に学年が始まり、3月に終わる制度の問題があります。世界中の多くの国々では、9月から10月に学年が始まり、5月から6月に終わる制度が一般的です。このため、日本への留学を希望する学生は、学年の途中での来日を余儀なくされ、さらに帰国する場合も、2月から3月の学年途中での帰国になります。この問題を解決するため、東京大学では、10月からの新学期開始を検討しましたが、高校の卒業が3月であることから、様々な問題が発生する可能性があることが議論されました。さらに、10月に新学年を開始すると、卒業の時期は6月にならざるをえません。日本企業の入社は、現在でも4月1日が原則になっています。つまり、10月1日入社は、異例の扱いとなり、一般的には他社からの転職者の入社と同じ扱いになり、企業内でのキャリアを進む上で、不利になる可能性も考えられました。結局、東京大学の10月入学制採用は、取りやめとなりました。日本社会の様々な慣習が、日本企業や、日本の大学を、世界的に一流の企業・大学にすることを目指すとき、足かせになっているようです。
ブラウザの「戻るボタン」で、元の画面に戻ってください。